ウィーン・フィルの首席トランペット奏者
ハンス・ペーター・シュー登場!
豊中名曲シリーズVol.7

 豊中名曲シリーズVol.7は首席指揮者・飯森範親を迎え、ボヘミア地方(現在のチェコ近郊)に因んだ作曲家の作品をお届けします。聴く者を熱い郷愁の思いに誘うスメタナの連作交響詩「我が祖国」より“モルダウ”。18世紀のチェコに生まれたという作曲家ネルーダのトランペット協奏曲。そして第9番「新世界」と並んでドヴォルザークの交響曲を代表する第8番といったプログラム。その中にあって聴きどころのひとつと言えそうなのが、ソリストにウィーン・フィルの首席トランペット奏者、ハンス・ペーター・シューを迎えるネルーダのトランペット協奏曲です。ハンス・ペーター・シューは毎年のニューイヤー・コンサートでもおなじみのウィーン・フィルの顔とも呼べる名演奏者のひとり。その柔らかで輝かしい響きは日本でも多くのファンをつかんでいます。シューは飯森範親との思い出や日本の印象に加え、“知られざる”作曲家ネルーダについてたっぷりと語ってくれました。

■今回、シューさんは日本センチュリー交響楽団とJ.B.G.ネルーダのトランペット協奏曲を演奏します。とても優美な曲ですが、この曲の成立やその魅力について、少し説明していただけるとうれしいです。

 ネルーダの協奏曲はハイドンやフンメルのトランペット協奏曲と並んで、私たちトランペット奏者がよく採り上げる作品のひとつと言えると思います。ただし本来、この曲はトランペットのための曲ではなく、コルノ・ダ・カッチャと呼ばれる楽器(現在のフレンチ・ホルンの先祖)のために書かれた協奏曲なのです。

コルノ・ダ・カッチャ
フレンチ・ホルン

 このコルノ・ダ・カッチャの協奏曲の原譜は、かつてはチェコ北部の都市オセクの修道院の楽譜庫に保管されていたと伝えられています。曲名の記録が残っていないのですが、1706年(1707、08ほか異説あり)にロシツェで生まれ、プラハで育ったヤン・クシュチテル・イジー・ネルーダ(Jan Krtitel Jiri Neruda)によって作曲された作品ではないかと言われています。
 彼はドイツではヨハン・バプティスト・ゲオルク・ネルーダ(Johann BaptistGeorg Neruda)の名前で知られています。J.B.G.ネルーダは1742年にヴァイオリニストとしてドレスデンの宮廷楽団へ入団。1772年まで在籍し、1780年にその地で生涯を終えています。これもまた論拠には乏しいのですが、元々はドレスデンのホルニスト、アントン・ジョセフ・ハンペル(Anton Joseph Hampel 1710?-1771)のために作曲されたものであるといわれています。作曲者のネルーダ自身について、実はまだよくわかっていないことが多いのです。

プラハの街並み

 当時ボヘミアではヴァイオリンが急速に普及しており、徐々に民俗楽器として使用されるようになっていました。ほぼすべての村でヴァイオリンが演奏されていて、18世紀頃にはヴァイオリンを持っていない家はなかったとまで言われています。演奏することを生涯の仕事にしたいと思うヴァイオリニストが数多く生まれ、彼らは国境沿いに移り住み、オーケストラや楽団でその地位を確立していきました。ネルーダの活動はこうした地域と歴史を背景にしています。

 ネルーダが作曲した膨大な数の作品のうち、(このトランペット協奏曲以外に)現在確認できるのは、ほんの一部の作品のみです。現代でも演奏されるものとしてはトリオ・ソナタ形式の曲が6曲、ヴァイオリン協奏曲3 曲、交響曲4曲にオペラの小品などが挙げられます。彼の作品の中でも、ヴィオラ・ダモーレとフルートと通奏低音のためのソナタは、特にそのメロディの美しさなどから高く評価されています。トランペット協奏曲はネルーダの生きていた時代には弦楽器と通奏低音の楽器(チェンバロ)と一緒に演奏することが一般的でした。ですから現在、私自身が演奏する時も、そのような編成で演奏することが多いのです。

■指揮は飯森範親さんです。彼との思い出があれば聞かせてください。

 私は以前、飯森さんと一緒にR. シュトラウスのアルプス交響曲を演奏しましたが、その時の彼の印象は、私たちに“自由に音楽をさせてくれる” 指揮者である、というものでした。私たち演奏者は、指揮者が演奏者と一緒に音楽を作り上げてくれることがとても嬉しく、彼のそういった点をとても気に入っていました。今回、また彼と一緒に演奏できることをとても嬉しく思います。

■来日は何回目になりますか?日本に滞在する時の楽しみは何でしょう?

 すでに68回も来日しています!これだけ日本に来ているのですが、実は昨年初めて日本で休暇を過ごしました。私は、日本の文化、庭園、博物館、神社、そして何よりも伝統的でとても美味しい日本料理に感銘を受けました。私はいつも日本に行くことが楽しみで、日本に滞在中はとにかく、日本の聴衆の皆さんに音楽を楽しんでもらいたいと思って演奏しています。今回も皆さんにお目にかかれることを待ち遠しく思っています。

豊中名曲シリーズVol.7

2018年7月14日(土)

15:00開演(14:15開場)

 2014年、日本センチュリー交響楽団は、子供や高齢者、市民と一緒に音楽を創るワークショップのプロジェクトを始めました。その夏、ブリティッシュカウンシルがセンチュリーのメンバーを、ワークショップリーダー育成のための研修に招いて下さいました。そこに来ていたのはファシリテーターのリンカーン・アボッツ率いるイギリスBBC交響楽団のワークショップメンバーと、数人の東京、大阪で活動するプレイヤーたちでした。
 いざ研修に入ってみると、オーケストラと違って譜面台どころか楽譜すら使わない!あるパッセージを作り、それを覚えてアレンジしたり、違うものと組み合わせたり… とにかく、作る!覚える!それをアレンジする!ということの訓練でした。それを皆で共有していって、一つの大きな音楽を作るという作業。これは私達の行うワークショップでも基本となります。何かから得られたインスピレーションを音にして、表現していくのです。厳格な作曲法とは全く異なるもので、ある意味自由に表現して良いので、間違いというものはありません。一週間の研修を終え、やっとワークショップの役割を理解した私でした。

ブリティッシュカウンシルによる研修の様子(提供:ブリティッシュカウンシル)

BBC交響楽団によるトレーニングおよびワークショップ(2014年3月実施)
https://www.britishcouncil.jp/programmes/arts/music-education/training/mar-2014

 この4年ほどの間に、様々なワークショップに参加しました。初めてワークショップに参加した時は、何かを人に教えるという意識が強かったのですけれども、いろいろ体験してみると、実は私自身が得るものの方が多いのです。それも音楽という枠を超えて人間として。

 そして今の私にとって大きな学びとなっているのが、2017年に参加した高齢者の為のワークショップです。このワークショップは私には、とても衝撃的でした。今回は、マンチェスターカメラータからの3人に加えて、アドバイザーに作曲家の鈴木潤さんが参加され、9月から12月にかけて12回行いました。

「お茶の間オーケストラ2017」ブックレット

(2017年ワークショップの詳細については、こちらのブックレットをご覧ください)
http://www.century-orchestra.jp/topics/otyanoma/

 ワークショップの中で鈴木さんのアドバイスを受けて、いろいろ改善したつもりで行ったワークショップに対していただいた評価が、ショックなことに〝とっても真面目・きちんとしている〟というような言葉!よく考えてみたら、長年のオーケストラ奏者生活の中で、きちんと楽譜通りに弾くこと、はみ出さないように、そしていつしか自分がこう弾きたいと思っても、その感情を殺して指揮者の指示通りに演奏する習慣になっていたのです。何か注意されたら極端なまで忠実にその注意に従う、裏を返せば、自由にどうぞ!と言われても、どうしていいのか解らないのです。特にほとんど経験のない即興演奏だと、何をどうして良いのか解らないのに、グループを引っ張らなくては!と思い込んでしまい、空回りしてしまう次第だったのです。
 何回かワークショップを重ねるうちに、何とかしなくては!とシャカリキにならなくても、音の流れが自然に出来てくることに気づきました。その流れを感じて、それぞれに近くの人、視線の合った人と音のキャッチボールをしていくと、気付いた時にはそれが大きな輪に広がっていたり、またはたくさんの小さな輪が集まって大きな流れになっていたりで、心地の良いセッションになっていました。必要なのは、自分のかっこいい所を見せるのではなく、関わりあった人と、気持ちを通わせることなのです。

2017年ワークショップ

 30年近くオーケストラ奏者として演奏している間に、学生上がりで何も知らなかったけれども必死に音楽に食らいついてた純粋さが、気づかないうちにただただ、より精密にというつまらない方向になってしまった自分がいたのです。けれども、今回のワークショップを通して、型にはまりすぎずに、自分から何かを発信すると同時に、相手から何かを引き出す能力も必要なのだと思いました。そしてそれは演奏することにおいても大切なことではないでしょうか…

 このワークショップで出会った仲間や、御高齢の参加者と過ごした暖かい時間が私にとっては宝物です。

BBC交響楽団と日本のプレイヤーたち!(提供:ブリティッシュカウンシル)

 昨年8月23日、日本センチュリー交響楽団リサイタルシリーズVol.2として作曲家、野村誠のチェロ協奏曲『ミワモキホアプポグンカマネ』を世界初演した首席チェロ奏者北口大輔が、再び豊中市立文化芸術センターに登場します。今回のテーマは「3×3 ヨーロッパの作曲家と関西の作曲家」。ベートーヴェンやドビュッシーといったクラシックの代表的な作品と、現代の作曲家の作品が交互に並ぶプログラムです。オリジナルはピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスに2本のトロンボーンが加わる7重奏だったチェロ協奏曲『ミワモキホアプポグンカマネ』のチェロ&ピアノ版も初お目見え。試みに満ちたソロ・リサイタルと幅広い活動の一端を、北口大輔にたっぷりと語ってもらいました。

■今回のリサイタルで採り上げた関西の作曲家は、それぞれが気鋭の現代音楽の作曲家でもあって、ヨーロッパの作曲家との組み合わせがとてもユニークです。そのあたりからお話をうかがえますか。

北口:こういった振り幅が大きいプログラムをやってみたかったんです。普通のクラシックのリサイタルももちろん素晴らしいんですけど、あえて人がしないことをするっていう、サブカルチャー的なアイデアが面白いんじゃないかなと思っています。オーソドックスなクラシック音楽を突き詰めていく考え方も一方にあって、それはそれでいいと思うんですが、この時代同じ方向を向いていると、刺激が足らないかなと思うんですね。クラシックが衰退しているのは、同じことの繰り返しに理由があるのかも知れない。そこを人とは違うベクトルを向いていくことで、新しい方向性を目指したい。僕はジャズとか現代の音楽も好きなので、それをチェロでやっていくことで新しい方向を向いていきたい、と。

■クラシックの芸術性を突き詰めるという考え方、もうひとつは今回のプログラムに表されるような新しい音楽を含む考え方。このふたつが北口さんの取り組みの中にある?

北口:基本はバッハとべートーヴェンだと思うんです。このふたりで、おそらくチェロのレパートリーは完成してしまっていて、そのあとの作曲家には、どこかにバッハ、ベートーヴェンが聴こえてくるんですね。だから僕はクラシックの演奏家としては、このふたりは突き詰めたいと思う。で、それとは別に新しい感覚というか、ジャズをはじめとしたクラシックとはまったく違うアプローチの音楽にも興味があって、それが両輪としてうまく組み合わさった時に、新しい展開ができるんじゃないかな、と考えているんですよ。もしかすると300年前のバッハの時代にはなかったアプローチから、新しい音楽が生まれるかも知れない。クラシックの基本となる西洋音楽の伝統のどこかに新しいアイデアが聴こえるっていうように、このふたつがうまくかみ合わさって新しい道ができていけばいいなという段階ですね。そのためにはまずやってみるしかない。

■今回は、その「両輪」をお客さまも見つける楽しみがあるわけですね。

北口:野村誠さんのチェロ協奏曲『ミワモキホアプポグンカマネ』のチェロ&ピアノ版をメインに置くとして、全体をどうしようかと考えました。そこで野村さんの推薦で、鈴木潤さんと、宝塚市在住の近藤浩平さんの作品を採り上げて、そこにそれぞれの雰囲気に合わせる形でべートーヴェンとディーリアスとドビュッシーという各時代の15分弱くらいの作品を挟んでいこうと思ったんです。鈴木潤さんの曲だけはどうなるかわからなかったんですが、ただあの人はレゲエの人だからレゲエっぽくなるであろうという予想はついたので、そこに新しい表現ができるんじゃないかと。

野村誠:チェロ協奏曲『ミワモキホアプポグンカマネ』楽譜公開ページ
http://www.century-orchestra.jp/topics/nomura/

■もともと作曲家の方たちとの交流はあったんですか?

北口:野村誠さんと鈴木潤さんは、僕が東京にいた頃に一緒にバンドをしていたんですよ。伊左治直(すなお)という作曲家がいて、彼と一緒に現代曲っぽいボサノヴァ・バンドをしていたんです。伊左治直はピアノとアレンジで、僕がチェロ、あとギターとヴォーカルの犬塚彩子さんとで。基本はこの3人のユニットでここにいろいろな人に参加してもらう形で、野村誠が来たり鈴木潤が来たり。2008年~09年くらいにいろんなライブハウスで、そういったバンド活動をしていた時期があったんです。で、そのあと僕がセンチュリーに入ったら野村誠という人がコミュニティ・ディレクターで(笑)。

■いろいろな関係が大阪で繋がって来る…。

北口:10年ぶりくらいに再会して、去年の僕のリサイタルが実現したんですね。そして2回目をやろうと話していたところ、なぜか潤さんが京都に住むってことになって「お久しぶりです」みたいに話していたら、野村さんが鈴木潤さんと近藤浩平さんを推薦してくれて。鈴木潤さんっていうのは、鍵盤ハーモニカを操る風貌的にも怪しい人なんですけど、彼の音楽はどういう音になるか全く想像がつかない状態のまま、最終的にチラシを作る段階で潤さんがやっと曲名を出してきて、どんなのかなと見たらとても不思議なタイトルで。

コミュニティ・プログラム・ディレクター、作曲家の野村誠
ピアニスト、作曲家の鈴木潤
作曲家の近藤浩平

■『琵琶湖組曲』って題名はきれいですね。

北口:そう、その後が「カリブのトビウオ」、そして「隔たれたピンク貝」。タイトル見てぞくぞくっとしましたね(笑)。

■北口さん自身の音楽史について、うかがいたいんですが。どんな音楽体験をして来られたのか、とか。

北口:基本はやっぱりオーケストラが好きで、高校生くらいまではクラシックマニアでした。ただ、大学に行くと逆にマニアばっかりで、僕は性格が曲がっているので(笑)、違うことをやりたいなと思ってジャズを聴き始めたんです。で、いろいろなジャンルに手を出しつつ、学校では基本的にクラシック音楽を勉強するのでそっちは突き詰める方向で。ところが芸大にもジャズを好きな連中がいて、彼らとライブをしてみようとした時に出会ったのがタートル・アイランド・カルテットだったんです。

■現在の「CENTURY JAZZ NIGHT」に結びつく出会いですね。

北口:友達の車の中で初めて『ジュリー・オー』という、タートル・アイランドのマーク・サマーがひとりで弾いている曲を聴いて衝撃を受けた。そういう奏法というか、弾き方とかアイデアっていうのには、それまで出会ったことがなくて、すごく聴き込んで練習したんです。で、ヴァイオリンの人たちとタートル・アイランドのコピーバンドみたいなことはしていて、それとは別に伊左治さんと知り合ってボサノヴァバンドをやったりしたわけです。

タートル・アイランドS.Q CDジャケット
伊左治氏が制作したジャック・タチへのトリビュートアルバム『南天夢譚 ジャック・タチの優しい夜』。北口もチェロ奏者として参加している。

■この頃に現在の下地が作られて来る、と。

北口:ジャズをやりつつ、ボサノヴァ系も演奏して、クラシックの演奏活動ももちろんしながら、この辺から分かれ道がこう…。両輪のね(笑)。それを絶妙につなぎとめたのが荒井英治という人です。東京フィルハーモニー交響楽団に客演首席奏者として呼んでもらっていた時期があったんですが、韓国ツアーに行った時の打ち上げで、荒井さんと初めてお話する機会がありました。ジャズが好きでとか、タートル・アイランドが好きでとか話したら「僕、譜面持ってるよ」。そこでいつか一緒にやってみたいですねっていう話になったんです。10年ぐらい前の話ですね。

■荒井さんのインタビューでも同じ場面が出て来ました。

北口:荒井さんがセンチュリーに来てくださるという話になった時「あの時のお話、覚えてますか」みたいな言葉を交わしたら、「やろう」ということになりました。それで、タートル・アイランドのような形はできないかなと。オケと両輪の片側を僕の中でつなげているのは、荒井英治という人との出会いですね。

■最初の「CENTURY JAZZ NIGHT」を聴いた時、感動しました。モルゴーアの重厚さに比べて初めて聴いたJAZZ NIGHTは、アドリブがありつつ、ロックも含まれつつ、とても熱気があって。

北口:LIVE! でしたね、あれは。普段オケをしている人がやるっていうギャップ萌えのようなのもあったと思うんですよ。あのメンバーを見た時に、誰もこういう音が出るなんて想像してなかったと思うんです。プロレス用語なんですけど、自分たちは、結構「スイング」してました。結論は決まっていて、リハもするけれど基本はアドリブで、という。でも、そうしたら自分たちまで予期しない盛り上がりが起きて。

■はじけ方がすごかった。

北口:ヴィオラの丸山奏さんもすごく楽しそうだった。でも実はすごく難しい譜面なんですよ。荒井さんはよく知っているかも知れないですけど、基本的に僕ら3人は知らない曲なので大変なんです。でもすごく楽しいんですよ。あれはちょっと快感なんです。みんなに味わってもらえればと思いますね。

センチュリー室内楽シリーズVol.2 CENTURY JAZZ NIGHT(2017.3.28)

■荒井さんに「ロックとかジャズとかをクラシックの人たちと一緒にやるっていうのをどんなところから思いついたんですか」って聞いてみたことがあるんです。そしたら「僕たちが聴いてきたものがあり、僕たちを高揚させてくれるものがある。それを僕たちが譜面に起こして継承していくと、そこに未来が生まれるじゃないですか」っておっしゃったんですよね。

北口:素晴らしい考えですよね。実は僕自身がジャンルレスに目覚めたのは、べートーヴェンとマイルス・デイヴィスの生き方がよく似ているなと思ったところからなんです。マイルスも初期はずっとビバップの影響を受けて普通のスイングジャズをやって、そこからアコースティックでジャズを発展させていった中期があって、エレクトリック・マイルスと呼ばれた後期があって。ベートーヴェンの前期・中期・後期とすごく似ているんですよね。これに気づいた時に、あ、この人たち一緒だなって。

■私も今すごいなと思いました。似ています。

北口:発展の仕方がまるっきり一緒で、最後には自分の世界に帰って行くんですよ。その生き方が普遍性を持っている。彼らは表現する楽器が違うだけで、人としての音楽的な存在価値は一緒なんじゃないかって。それなら僕らもジャンルを破っていっても行けるんじゃないかなと。だから僕も、こういう振り幅のあるプログラムをいつかやりたいなと思っていたんです。

L.v.ベートーヴェン(1770-1827)
マイルス・デイビス(1926-1991)

 あと、これは、大変ありがたいことなんですけど、自分でこういうプログラムをやっても、準備がいろいろ大変なんですよ。作曲家に交渉したりとか、ホールを確保したりとか。それをホールが主催してくれるっていうのは、すごくありがたい。自分を試すチャンスを与えてくれるっていうことに本当に感謝しています。7月の豊中名曲シリーズVol.7では、プレパフォーマンスにも出演します。近藤浩平さんの『メタセコイア』という曲をトランペットの小曲さんが演奏して、僕が近藤さんのチェロと打楽器の『鴨川源流の旅』と伊左治直の無伴奏作品『マイザレーム』を演奏します。『マイザレーム』はポルトガル語でもっと遠くへといった意味で、僕が初演した作品でもあります。そんなわけで7月、8月と僕は豊中に登場しまくるので、皆さまぜひ通ってください(笑)。

『マイザレーム』の楽譜はこちらからご購入いただけます。
http://shop.zen-on.co.jp/p/932022

豊中名曲シリーズVol.7
プレパフォーマンス&トーク②

2018年7月14日(土)

14:00開演(13:45開場)

入場無料

お問合わせ
豊中市立文化芸術センターチケットオフィス
TEL.06-6864-5000

北口大輔チェロリサイタル2 レクチャー〈3×3〉
~ 3人の作曲家が語る3人の作曲家~

2018年7月16日(月・祝)

14:00開講(13:30開場)

お問合わせ
豊中市立文化芸術センターチケットオフィス
TEL.06-6864-5000

CENTURY JAZZ NIGHT Vol.3

2018年7月18日(水)

19:00開演(18:30開場)

お問合わせ
豊中市立文化芸術センターチケットオフィス
TEL.06-6864-5000

北口大輔 チェロリサイタル2

2018年8月28日(火)

19:00開演(18:30開場)

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